katoreen101の日記

学校教育と授業研究・アートと猫と…あとはあれこれ

鎮魂の旅を終えて

今年のGWは10連休。

 

この休みを利用して東北地方に出掛けました。仙台から山形、福島そして宮城と巡りました。

 

前半は土砂降りの雨に当たったり、寒さに震えたり、山道で霧の中、道を間違えたりしました。

しかし、この低温のおかげでか、遅咲きの桜があちこちで美しく咲き、旅の楽しみを倍増させてくれました。

山形の「山寺」の桜は、山全体を包み込む深い森林の香りに包まれながら優しく咲き、心を癒してくれました。また、会津若松の鶴ヶ城の城内の桜は風に無数の花びらを踊らせて、道に淡いピンクの絨毯を敷き詰めて出迎えてくれました。

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観光地を巡る中で、車窓から眺める景色は、もうすぐ始まる田植えや色々な作物の作付けの準備をする人達を見かけました。

桜の花々はこれから本格的に始まる生産の季節を応援するかの様に咲いているようでした。

 

こうやって春になり、夏になり、秋になり、1年がまた巡って来るのだ、

 

そうやって、何十年も何百年もここの地方の人たちは暦を手繰って生活してきたのだな。

と、人々の暮らしの息吹を感じることができました。

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しかしながら

 

その「当たり前の1年」が今から8年前の3月のあの日に、

突然失われた事を嫌が応にも色々な場所で目の当たりにせざるを得ませんでした。

 

太平洋側の海岸線の道沿いは、其処彼処で防潮堤に覆われていて、今だに工事中の所が数多く見られました。

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海辺を走っているのに海が見えない。

磯の香りも、波の音さえも聞こえない、不思議な光景が続きました。

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そして

石巻から女川町へ北上、再び石巻市に入り、海から5キロ上流の北上川に架かる大きな薄緑色の鉄橋の手前。

 

そこで私は

一生忘れられない、

忘れてはいけない

震災遺構に出くわしました。

 

その遺構が目に入った時、その遺構がもつあまりにも大きな意味を受け止めきれず、

あまりにも辛すぎて、胸が苦しくなり

 

ただその場でハラハラと泣くことしかできず、立ち尽くしていました。

 

これを記述している今も

涙がこぼれます。

 

その震災遺構の名は

 

旧石巻市立大川小学校跡地です。

 

予定のルート上にこの遺構がある事をドライブの途中で知りました。

立ち寄る事をためらいましたが、行くべきではないかとも思いました。

 

しかし、

遺構が目に入った瞬間の衝撃は大きく、未だに気持ちの整理がつきません。

光景は目に焼き付いていますが、それを文章で描写することは

辛すぎて

今は出来ません。

 

ここであの日、起きたとこ、その瞬間まで

いつもと同じ日、

いつもと同じ時間が流れていた事。

 

子供達の明るい声が響いていた校庭、その周りに築かれていた塀に描かれた子供のカラフルな壁画。

ユニークな形の玄関ホール。

何十年も続くはずだった未来。

 

目の前に広がった「遺構」となってしまった学校。

その事実の果てしない重さ。

 

ここから何を学ぶべきかとか、どうすれば良かったのかとか

教訓めいたことや、たやすく命の尊さとかを語る言葉は、全く何も私には見つかりません。

 

 

遺構に手を合わせ、帰る道すがら。

北上川沿いを内陸に走る沿道には、遅咲きの桜が美しく咲いていました。

 

繰り返し繰り返し、季節を告げる桜の花と

時間が止まったままの風景を心に刻みながら

 

鎮魂の旅となった今回の記憶をいつまでも忘れずにいなくてはいけない

と思いました。

 

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