いよいよ少人数学級が実現へ
全く、本当に(本当に本当に)遅ればせながら、国もようやく35人学級の実現に向けて動き出しました。とりあえず、2021年度は5年後の実施に向けて数億円の予算計上ということで、誠に雀の涙ではありますが、一歩踏み出したことに間違いはありません。
40人が35人に変わると、どうなるのでしょうか。
単純にクラスの人数が5人減る、40人が35人になっても大して変わらない、という気がしませんか?
実は、この1クラスの人数、学校現場の実情・在籍人数によって大きく変わってくるのです。
例示してみましょう。
パターンA
1学年200人の場合=
40人学級だと 40人/1クラス
35人学級だと 33~34人/1クラス
パターンB
1学年105人の場合=
40人学級だと 35人/1クラス
35人学級だと 26~27人/1クラス
パターンC
1学年36人の場合=
40人学級だと 36人/1クラス
35人学級だと 18人/1クラス
ということで、学年の人数が減るにしたがって、違いが顕著になってきます。確かにパターンAのように人数が多ければ少し少なくなるかな、という感じなのですが、パターンCのように40名前後だと約半数になるのです!
私の地元、
北海道と札幌市の小学校について調べてみました。
北海道小学校1校当たりの児童数平均=234人
札幌市小学校1校当たりの児童数平均=451人
(北海道教育委員会HPの令和1年度児童数一覧より算出・特別支援学級を除く)
学校の児童数を単純に6学年で割ると
札幌市の場合=約75人
北海道の場合=約39人
となり、ほとんどが上で示したパターンB,Cになるのです。
ということは、
都市部でも、今まで小規模校といわれていた学校並みの学級人数になる
という訳です。
今まで、へき地・小規模校はどちらかというと、都市部の中規模・大規模校で行われている教育を目指し、無いものをどう補うか、という視点でことをことを進めるのがスタンダードでした。
へき地・小規模校の授業研究で公開された授業を観ても、3~4人しかいない子どもを相手に、40人学級の一斉授業さながらに、教師がひたすら説明したり、教師が発問して子どもが挙手し、指名されて発言したりするといった授業スタイルを取っている、ということがよくありました。
大きい学校に行っても困らないようにという親切心???
小規模だろうが、大規模だろうが教師主導のスタイルは時代遅れにもかかわらず、大きい学校に行っても困らないようにという大義の下なのか、「はい、みんな今日の学習はわかりましたね。」と目の前にいるリアルな子どもたちではなく、教師の思惑通りにしたい「みんな」というという架空の子どもたちに向って「はい。」を言わせる授業を繰り返してきました。
しかし、とうとう少子化が加速し、少人数学級が実現するという昨今、「大きい学校に行っても困らないように。」という考えそのものが意味の無いものになってしまっているのです。
一斉に、効率よく、どんどん教科書の内容を流し込む、落ちこぼれはほっとくか、人手があれば個別指導で、というスタイルも無用どころかさっさと撲滅すべきものになっています。
世界が開け、ワクワクドキドキとする授業
学びの主体が子どもとなり、知れば知るほど、分かれば分かるほど、世界が開け、ワクワクドキドキとする授業の在り方を探ることと少人数学級はセットでなくては意味がありません。
先日北海道教育大学の主催で「第18回へき地小規模校フォーラム」のオンラインフォーラムがありました。
その中でパネリストとして参加した信州大学の伏木久始教授の報告の中には
・少人数の弱みをと思われてきた条件を強みに変える
・従来の「教える」「扱う」という発想の見直し
・「自律的な学び」⇒「個別最適な学び」
など、興味深い指摘が数多くありました。
少人数学級が実現的になってきた今こそ、へき地・小規模校の実践が注目されています。そんな、実践を少しずつ探り、やがて少人数化していく全ての学校の先行事例として注目していきたいと思います。