katoreen101の日記

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風と砂山の記憶7 〜吹雪の日〜

今、北国は一年で一番厳しい季節をむかえています。

 

石狩湾から入り込む強い西風が吹くと、降り積もった粉雪が舞い上がり、辺り一面真っ白。視界が効かない中車で前に進むとあっという間に吹き溜まりにはまり込んで身動きができなくなるなんてよくあること。

でもでも、

ホントにひどい吹雪はこの頃少なくなってきたなぁと感じています。

 

海辺の学校にいた頃は、S市から15キロの道のりを車で通勤していました。

 

夏は速度違反に気を付けて毎日快適ドライブなのですが、冬の通勤はなかなか辛いものがありました。

何せ、

雪が降るのは上からではなく横から

積もる雪はサラサラ粉雪なので降ってなくても風が吹くと舞い上がり視界が妨げられます。

冬はほぼ毎日西からの強い風か吹いているのでほぼ毎日視界不良。

つまり雪が舞っている中を走るのが当たり前の日々でした。

 

問題はその度合いです。

進行方向の道の端や道路脇のポールが見えるうちは全然大丈夫なのです。このぐらいだと対向車も見えるので、スピードさえ控えれば何とかなります。

さらに風が強まると一瞬全く見えなくなることがあります。見えなくなるたびにブレーキを踏むと後ろから突っ込まれる事もあるのでむやみにかける事も危険。そういう事態に備え、前方の景色を目に焼き付けておき、見えなくてもスピードを緩めず進んでいく技術が必要でした。

そうしていても吹き溜まりに突っ込んでしまう事もあるので気は抜けません。

が、この程度でも、目的地にはちゃんとたどり着けるので耐えられないことはありません。

 

もっともっと酷くなると、

 

一瞬ではなく、ずっと全く見えなくなるのです。

右も左も上も下もわからない、とにかく全て真っ白。

まるで

「牛乳の中」

にいるような感じになることもありました。

見えないからといって停まると埋まってしまったり、後続の車に追突されたりするかもしれないのでノロノロでも進み続けるしかありません。

フロントガラスも凍りつきワイパーもデフロスターも最大に稼働させても、ほとんど前が見えないので決死の覚悟。

ゴーグルを着用し、運転席側の窓を開けて顔を出して前方確認しながら進んでいくしかありません。

左右は高い雪の山になっているのでまっすぐ進んでいるつもりでも、

いつの間にやらどちらかに偏り、雪の壁にぶつかってしまいます。

右にぶつかっては左にハンドルを切り、左の壁にぶつかっては右にを繰り返し、進んでいくのです。

対向車が来てもわからないので運を天に任せて進むしかありませんでした。

道はやがて国道との交差点に出るはずなのですがその目印となる信号機が全く見えません。

普段大型トラックがよく通る道だけにその交差点に闇雲に突っ込んでしまうのは大事故につながってしまうので本当に怖かったことを覚えています。

 

まあ、そんな道を6年間よく通勤していたものだと今更ながらに思います。

 

そんな中を子どもたちは通学して来るのです。

臨時休校になった記憶もあまりありません。

吹雪で臨時休校にしては休んでばっかりになってしまうからだったのでしょうか。

朝は近くの子と一緒に、保護者に送ってきてもらったりしていましたが、帰りが集団下校になることもよくありました。

 

この集団下校も大変でした。

 

行きは、ひとかたまりになって歩くし、子どもを引率しているという緊張感もあり、なんとか達成するのですが、帰りは教師1人になるため本当に過酷。

道の端の雪の壁を伝いながら手探りで前に進みます。学校からRV車を持っている同僚が迎えに来てくれるのですが、すれ違っても気がつかないほど視界がないことがしばしばでした。

やっとの思いで学校にたどり着くと、ようやく帰還した同僚たちが玄関で倒れ込んでいます。

みんな髪の毛が凍りつき眉毛も真っ白。お互いの顔を見てホッとして雪男、雪女みたいになっている顔を指さして大笑いしたものでした。

 

そんな日は放課後に予定していた会議なども

「もう疲れたからやめよう。プリント読んでおけば何とかなるさ。」

「そうだね〜。」

などと言ってやめてしまうのでした。

 

吹雪のことを思い出しているうちに、ずいぶん文章が長くなってしまいました。

子どもの学びの様子を書くはずなのに、

自分が大変だったことばかり、一体何を言いたかったのでしょうか〜〜(ごめんなさい!)

 

まあでも、僻地に勤務していたことのある人たちなら、私と同じような体験をきっとしているはずです。

共感を得られたら嬉しいです。

 

そして、そんな厳しい気候の地域が北国には今でもあり、そこにある学校に通ってくる、逞しい子どもたちがたくさんいるはず。

 

子どもの学びを考える時、

 

どんなバックグラウンドがあるのかという事も大切です。

僻地に行くと厳しい気候はもちろん、

その地に根ざした大人たちの人間関係なども影響があります。

小さな地域では保護者の経済的な状況は周知の事なので、子ども同士の関係の中にも自然と染み出ている事もあります。

 

教室での学びはその中だけのことではなく

地域の自然や社会的な状況や何となく流れている、その地域独特の空気のようなものも含まれているのだ、という事も

 

海辺の学校で学んだことの一つだった気がします。

 

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この学校では1年生からスキー場に行きました。初めてスキー場に行った次の日にある子が描いた絵です。駐車場にたくさんバスが停まっていた事、先生や仲良しの友達とハラハラドキドキしながら滑った事。リフトが高いところを動いていた事等など、たくさんのお話が聞こえてくる私の大好きな絵です!